[ 参考情報一覧 ]
- 2015/1/29
- 【参考情報3】安い落款印のインターネット店舗への発注体験記
- 2015/1/18
- 【参考情報2】書作品の題名と釈文について
- 2015/1/10
- 【参考情報1】 落款印の購入の参考に!
落款印の購入の参考に!
→ 川邊尚風著「落款の書き方」 知道出版 1700円+税
■署名印は白文の姓名印が上、朱文の字号印(雅号印と字(あざな)印のこと)が下という慣習は尊重されなければならないが、本文との調和、全体のバランスの上から必要であれば、自由な使い方も許される。(この本には直接的には書いてありませんが、雅号や字(あざな)を持っておられない方は字号印として下の名を使います)
■大きさは作品の出来上がり具合によって変わってくるので一概には決められないが、一般にあまり大きい印は使わない傾向にある。例えば半折の漢字条幅で、一行書きが二十ミリ~二十五ミリ、二行書きで二十ミリ前後、三行書きでは十五ミリ~二十ミリ、四行書きになると十五ミリ前後位のものが使われる。
■かなの作品には、名印か雅号印を使い、一般に1顆だけにする例が多く、印文も朱文にするのがよい。白文にするときは、朱色が強く出て、作品全体に与える影響が大きいから、やや小さめのものにするとよい。
■漢字に使う印をかな作品に使うことはあまりない。まして半紙、色紙、懐紙などの作品に二十ミリものの角印を捺すなどということは論外である。
■半折に和歌一首を二行に書いた場合、十八ミリ~二十三ミリなどと言われるが、本文の出来上がり具合や印が朱文か白文かで異なってくる。
■現在では、仮名作品が余白や散らし書きの微妙な調和美によって成り立っていることから、本文以外はできるだけ省略、省筆する方法がとられ、一般に署名はせず、印一顆を捺すにとどめることが多くなっている。
■引首印は朱文、白文のどちらでもよく、字数も二字、四字、七字などがあり制限はないが、この印も紙面と調和する形、大きさ、字数のものを選ぶことが大切である。
■署名印は、一顆の場合は署名の字間とほぼ同じくらいあけて捺印し、二顆以上の場合は印と印の間を署名と印の間よりも広くするという基準のようなものがある。
注)雅号を持たない方で姓名印(白印)と名印(朱印)を購入される場合は、姓名印(白印)に姓(苗字)と名(下の名)を彫ると、次の名印と名前部分が重複するのでそれを避けるために姓名印の方には姓(苗字)+名(下の名)ではなくて姓(苗字)+之印と彫るのが良いとされています。雅号をお持ちで2顆目が朱印の雅号印の場合は、一顆目の姓名印(白印)は普通に姓(苗字)+名前(下の名前)で問題ありません。
書作品の題名と釈文について

題名と釈文の書き方
1.題名
「題名」のつけ方には厳しい制約はなく、以下の例でわかるように一般にかなり自由につけられています。
2.釈文例1 例えば五言律詩の漢詩の場合、作者名から「杜甫詩」
例2 その漢詩の題名 をとって「春望」
例3 その両方を入れて杜甫詩「春望」(一部分の場合は「杜甫詩「春望」の一節(より)」)
例4 自作の歌なら「自詠歌」とか「自詠歌一首」など
例5 内容や形式で「禅語」 とか「漢字四字」「和歌」「和歌三首」「俳句五句」「万葉集より」などとつける例も多い。
例6 書いた文字そのものを題名として「日々是好日」「夢」などとするのは最もオーソドックスな題名のつけ方です。
例7 長い文章の場合、題名としてそのまま使えないので、その書き出しの部分だけを書いて「○○○○.....」とします。
書作品の「釈文」とは、作品を読みやすい字体・文体に直して解説した文章のことを言います。例えば作品の文字が大きく崩してあったり、変体仮名を使用したりしている場合、その作品の文字自体を楷書体など読み易い文字で書直して釈文とします。
例1 打卻黄鶯児 莫教枝上啼 啼時驚妾夢 不得到遼西作品が漢文の白文の場合の釈文では、訓点[送り仮名・返り点(カッコや句読点も含める場合がある) ]を書き加えたり、あるいは書き下し文(読む通りに仮名混じり文にした文)にします。
例2 花鳥も おもへば夢の 一字かな
たいきょなん つね いちごう しょうそく例3 太虚何の常あらん 一毫の障塞なり上記に加えて、出典(作者や詩の題名など)や作品の意味、用語の解説など付ける場合もあります。
あまり長すぎるのも鑑賞の妨げになりますので「ひといき」で読める程度に簡潔にまとめるのが良いでしょう。せいめいみ あ きしかみ ごと例4 清明在躬 氣志如神 (清明躬に在り 気志神の如し)清明の徳を身につけている人は、その志は測り知れないほど神妙である。
【出典 孔子・礼記】
(この「題名と釈文の書き方」の項は東京書芸協会の競書誌「実り」平成24年11月号を参考にさせていただきました)
安い落款印のインターネット店舗への発注体験記
落款印の相場価格
本題に入る前に、落款印の相場価格をインターネットで調べて見た結果、例えば半紙や色紙でよく用いられる12mm角の落款印の価格が1本あたり6000円から8000円程度、1行書きの条幅などによく使われる24mm角の落款印の価格は1本あたり10000円から16000円程度とかなり高額なものであることが確認できました。
そんな中でキャンペーン価格ではありますがインターネット店舗で非常に安いところを見つけました。それは下に示す店です。
"手彫り最安堂"
http://inkan.koubou.biz/campaign2.htm ←残念ながら現在はこの店は閉店し営業しておりません
安くできる理由として理解できるのは、1つは人件費の安い中国の彫師と専属契約をしていることで、中国の福建省で製作したものを国際郵便で送ってくる仕組みです。もう一つは落款印の材料が丹東凍石と言う安価な材料だということです。(耐久性は劣りますが普通に使うには問題ないと思います)
送られてきた落款印

18mm、24mm角の場合
18mm角の落款印の場合は2700円+送料780円=3480円です。
一行書きの条幅用に24mmの姓名印、雅印(名印)、引首印の3本セットで注文すると3300円×3+送料780円(3本でも送料は780円)=10680円で入手できます。この24mm3本セットも実際に発注してみました。送られてきた落款印の印影と篆刻面の写真を下に示します。




なかなか到着しませんでした。他の荷物に紛れて別の空港に行ってしまって再発送された可能性がありますが原因はよくわかりません。結果的には商品は予定より2週間ほど遅れて無事到着しました。商品の品質は問題ありませんでしたが、納期は余裕をもって発注する方が良さそうです。
二行書きの条幅用に18mmの姓名印、雅印(名印)、引首印の3本セットで注文すると2700円×3+送料780円=8880円です。
仮名作品用変形印(9mm×6mm)の場合
このような特殊な形状の場合、注文時に下に示すような印影原稿を添付すると希望の形状を間違いなく伝えることができます。



国際郵便で送られてきた変形印
結論
なお、中国での製作なので名前がひらがなの場合に大丈夫なのかという疑問についても、ホームページに説明があって日本の会社が間に入っているので、ひらがなの名前の場合は日本国内で版下を作るので対応可能ですとのこと。また、ひらがなの名前の場合は漢字の当て字で落款印を作成することも良くあります。
今回試しに発注した結果、何とか使えるのではないかという感触は得られましたが、常にこの品質で安定しているという保証はできませんので、もし発注される場合はリスクがあることを承知で御発注下さい。